2024年4月6日~4月30日 シリーズ:自在に描く表現者たち 第3回
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少し前になりましたが、友人の二口圭子さんが運営するギャラリー&工房「ふくみみギャラリー」で開かれた「熊野友野展」に行きました。
熊野友野さんは1996年生まれの28才。ミントアンサンブルサークルの会員で、数々のユニークな作品を制作しています。
ギャグマンガ風、妖怪、幻獣、カードゲームのキャラクターなど多彩な作風がいくつもあります。どの作品にも思わず「クスッ」と笑ってしまうユーモア、時にはハッとさせられるブラックユーモアが流れています。
特別な専門教育を受けたわけでもなく、子どもの時からただひたすら好きなもの、興味を持ったものを描いて描いて描いて描いて…、その膨大な時間の中からしか湧き出ることのない生きる力のようなものに圧倒されます。
時には画面の空白を埋め尽くす饒舌さと、時には猥雑な世界を大胆に切り取り、シンプルに再構築するような思想とも言えるものを併せ持つ彼が、これからどんな作品を描いていくのかと思うと心がわくわくします。
現実の世界がこんなにも悲惨で理不尽で悲しみに包まれ、ややもするとわたしの心ももう2度と晴れることがないと思ってしまいがちなわたしに、勇気と元気をくれたすてきな個展でした。
ふくみみギャラリーは猫の版画作品で人気の二口圭子さんが自宅を改造して開いたギャラリーで、時々今回のような企画展を計画していて、一般の画廊や展示場とは違ったアットホームな雰囲気が心地よく、わたしたち夫婦と共通の友だちと毎回ご飯時に弁当を持って行き、長い時間話したりするのが楽しみになっています。
わたしたちだけでなく、いろいろなひとの大切な居場所になっているみたいで、今回も何人か来られ、盛況でした。わたしたちはつい長居しすぎて迷惑かけたかも知れず、これからは他の人たちに席を譲るなり、もう少し遠慮しなければと反省しました。(細谷常彦)