いつまでも そんなにいつまでも むすばれているのだどこまでも

 9月12日、「ふくみみギャラリー」の「大西彗・寺田裕子二人展」を観に行きました。アールブリュットアーティストが広げる独自の世界を紹介しているこのギャラリーが開催する「シリーズ:自在に描く表現者たち」の10回目となりました。
 このギャラリー自体がオーナーの二口さんの自宅を開放したもので、アットホームで気取らず、自由な場所で、美術館や画廊にありがちな肩ひじ張って絵を観に行くという雰囲気ではないので、展示される作品が本来の居場所にたどり着いたのだと思います。そして、安堵感と開放感に満ち溢れるそれらの作品を観るわたしたちもとてもリラックスしてゆっくりと作品と向き合えるのでした。
 大西彗さんの作品群もまた、大きな会場では見落とされてしまうかもしれない、しっかりとした線描が実はとても繊細で、描かれるたくさんの動物たちから何とも言えないぬくもりとユーモアがにじみ出ているように感じました。美術館「えき」KYOTOで今開かれている宇野亜紀良に似た、少し隠微でおしゃれな線描デザイン画としての魅力も感じます。
 それと同時に、作品との立ち位置を感じさせる彼独特の観察眼がひとつひとつの作品との距離感を用意していて、その隙間にわたしたちが迷い込んでしまう愛おしさもまた、魅力のひとつだと思います。
 聞くところによると、最近は素描だけをすることも多く、お母さんに色の指示を出して作品を完成させているとのことで、描くだけではないプロデューサーとして作品に向き合うところもまた、ユニークなところだと思います。
 彼の作品に引き付けられ、いろいろなグッズがつくられていて、商業デザインとしての素質も持つ作品群でした。

寺田裕子さんの場合は対照的で、彼女はとにかく人が好きなんだなと、出品された作品数は少ないものの絵の外へと彼女の想いが町並みにあふれるのを感じました。実際のところわたしは万博やオリンピックなどの大きなイベントは苦手なんですが、彼女の絵をみていると多くの人々が集い、楽しむ姿を喜ぶ彼女の素直さが感じられて、ほほえましくなりました。プロフィールを観ると結構波乱万丈な人生で、つらい事もその持ち前の明るさで乗り越えてきたのだろうと思いました。

今回もギャラリーの居所の良さに甘えて昼ご飯をいただき、よもやま話に明け暮れていつの間にか夕暮れになってしまいました。ふくみみギャラーリーに感謝です。

画面をクリックすると大きな画面で鑑賞できます。

大西彗作品

寺田裕子作品